結局、文面に返事をすることはできず、四限目の授業が終わるとすぐに放課後になった。

 塩見君と石黒さんが部活に行って、クラスメイト達もボチボチ帰り始め、嶋原君と二人きり。

 今日日直の私と嶋原君は、学級日誌を書いていた。

 嶋原君は石黒さんの席に座って、文字を書いていく私の手元を見ている。

「あんまり見ないで。書きづらい」

「字、上手いんだなと思って」

「褒めても何も出ないよ」

「ハハ」

 嶋原君は軽く笑う。記憶がリセットされたばかりの時よりは、空気が幾分か軽くなっている。

「日曜からね、天気が回復するらしい」

「えっ」

 しかし、ポツリ言われた言葉に、私はすぐに顔を上げた。

「また、振出しに戻りそう」

「日曜からって、帰ってきてまだ二週間なのに……」

「昔に比べたら、あっちに行く頻度が増えてて。でも、どうすることもできないよね」

 仕方ない、と割り切る嶋原君だったが、私の胸はチクチク痛みだす。

 せっかくこうやって知り合いになれたのに、嶋原君は全部を忘れてしまう。

「塩見や石黒、恵口とも一緒にいて、俺、結構楽しかったよ」

「そんな……」