“塩見と二人で出かけるんだって?”

 生物の授業中、ふと窓外を見ていると、ノートの切れ端が隣の嶋原君から回ってきて、以前もこんなやり取りあったな、と思いながら文字を見ると、私は一瞬固まった。

 塩見君から誘いを受けた時、まだ嶋原君は来ていなかったのに、早石黒さんから情報が回ったのかもしれない。

“一応”

“行くんだ、デート、二人で” 

 チラリ横に視線を投げると、バッチリ目が合って、サッと逸らす。

 すると、嶋原君は私の机上の切れ端を取ると、再び何かを書き始めた。

 何だろうと思って、回ってきた切れ端を見ると、更に私は反応に困った。

“何で行くの? 恵口も塩見のことが好き?”

 そういうんじゃない、けれど、でも……。