「恵口さん、おはよー」

「おはよう恵口さん」

 そして学校でも一緒にいれる友達の輪を見つけ、私は恵まれた生活送っていた。

 石黒さんと塩見君は、私を見つけると手を振って笑顔を見せる。

 過去を克服して、心からの笑みで彼等に向き合えた時、私はきっと一歩前進できる。

 なのに、自ら動こうとしないで、目を背けたくなる過去には、蓋を閉めたまま。

 私は変わりたいと思っているのに、きっかけを見つけられないでいる。

「ねぇねぇ恵口さん、また今週末、どこか出かけない?」

「え?」

「今度は二人でどう?」

 先日四人で水族館に行ってから、塩見君が以前より私に声をかけるようになった。

 見かけがドストライクだ、と直球で言われたものの、大して美人でも可愛らしくもなく、平凡な容姿。

「……どうしよ」

 異性と二人で会った経験はなく、しかし塩見君とはいつも一緒にいるから、断りずらい。