「こうやって言えるのは、吹っ切れてるからだよ。嶋原も塩見も、私にとって大事な友達だから」

 だから、これからまた俺が記憶を失っても、友達だよ、と石黒は言ってくれた。

「塩見達、今頃何話してるんだろうね。恵口さん、グイグイ来られても困りそう、大丈夫かな」

 青い水槽に、何度も見た恵口の小さな微笑が浮かび、俺は二人が歩いた後の道を振り返った。

 これから二人、上手くいったりするのだろうか。

「嶋原? 何、気になる?」

「え? いや、ううん。俺達も回ろうか」

「とりあえず三十分後にイルカショーがあるから、それ見たい」

 俺が記憶をなくしても、ずっと友達か……。

 正直、石黒の言葉はめちゃめちゃ嬉しかった。