「私が好きになったのは、塩見じゃなくて嶋原だよ」

「え」

「いや、告白したら、普通に友達だからって言われて、私玉砕した」

「え、いや……それ初耳」

「そりゃそうだろうね。あの後すぐに、嶋原記憶なくしちゃったもん」

 かる~く石黒は言うが、俺は初めての事実に動揺する。

「嶋原が私のこと女として見てないことくらい、分かってるよ」

 ベリーショートヘアの石黒は、サバサバした男っぽい性格で、自分を好きだったようには到底見えない。

「だから、塩見のこと好きなのは違うから。それに私、今部内のキャプテンに告白されてる」

「マジ」

「マジ、凄くない? 三年のエースストライカー」

 前向きに部長とのことを考えているようで、俺とは友達でいたい、と石黒はハッキリ口にした。