父の下半身からはドクドク血が流れ、パニックになって助手席に座る母を見ると、ガラスで頭を打った母も頭部から血を流していた。

「お母さんっ!」

 どうしよう、どうしよう。

 何も分からぬ私は、二人を揺り起こすことしかできずに、泣き喚くばかり。

「……希花ちゃん、大丈夫よ」

「お母さんっ」

 すると、薄っすら目を開けた母が、後ろを指示し、弱々しく私の名前を呼ぶ。

「上にいた工事現場の人が、すぐに来てくれるはずだから……」

 私は車を降りて上を見上げると、工事現場の作業員達が、青ざめた顔でこちらを見下ろしていた。

「たっ……助けて下さいっ! ここにいます! 助けて下さいっ……!」

 私は泣きながら、小さな体で居場所を指し示す。

「すぐにそっちに行きます!」