二人は嶋原君に驚くべきことを伝えており、私は思わず目を見開いた。
「俺、塩見。塩見健人。これから宜しく」
「はじめまして、私は石黒春菜。嶋原、今日から宜しくね」
──何これ……。え……?
「……どうして、はじめましてなの?」
驚きで思わず口を挟んだ私を見て、嶋原君はポカンとこちらを見ている。
「誰? この人もクラスメイト?」
「え……どういうこと?」
「あぁ、恵口さん、後で説明するから。嶋原、恵口さん、俺のお気に入り」
塩見君はまるで嶋原君と初対面のような言葉を交わし、私を嶋原君に紹介する。
一体何、何が何だか、ついてけない。
驚くまま無言で突っ立っていると、やがてチャイムが鳴り、麦野先生が教室に入って来た。
何事もなかったかのように朝礼が行われた後、麦野先生は嶋原君の席まで来ると、ニッといつもの笑顔を見せる。
「分からないことがあったら、塩見と石黒に何でも聞いて」
「ありがとうございます」
お礼を言う嶋原君をじーっと見ると、彼は私の視線に気が付いたらしく、怪訝そうな目でこちらを見据えてくる。