~嶋原空也~

 球技大会の日は、午後から曇りだと知っており、麦野には事情を話して午後から早退することになっていた。

 だが、予想外に昼前に雨が止んでしまい、俺はこの世界から消失してしまった。

 目を開けると、真っ白な天井が見え、体を起こすと入院着のような灰色のいつもの服を着ており、息をつく。

 またここに、戻って来てしまった。

 だが、ここは好きではない。

 打ちっぱなしのコンクリートの部屋がいくつにも連なる、廃墟のような大きな建物が三つあって、雨人はここで暮らしている。

 窓外を見れば雨が降っており、瓦礫や鉄骨の山が見える。

 瓦礫の山を越えると他の世界に繋がっているのでないか、と雨人の友人と何度も外へ逃げ出したことがあるが、瓦礫は永遠に続き、俺達雨人はこの建物でしか過ごすことができない。