その後、私は麦野先生や石黒さん、塩見君に事情を話すと、そういえば今日は……と、慌てて窓外を見た。

「嶋原、行ってしまったんだ」

「凄く、苦しそうだった」

「すぐに帰って来れるといいけれどね」

「でもまた、振出しに戻るのか」

 心配の最中、塩見君の“振出し”の言葉に違和感を覚えると、他クラスの試合終了の笛の音が響いた。

 次は準決勝、皆で気合いを入れ直して試合に臨んだものの、もう私を庇ってくれる人はおらず、勢いよく飛んできたボールに、私は思い切りぶつかってしまった。

 ──今は嶋原君は、私の知らない世界にいる。