頼りになる言葉をかけられ、言葉に甘えて嶋原君の陰に隠れていると、やがてピーッと笛の音が鳴り試合終了。

 結果は二人差で勝利、これで準決勝進出決定だ。

「さっきの嶋原、カッコ良かったな」

 試合が終わってざわつくと、塩見君が嶋原君の肩を組む。

「俺の後ろにいていいから、だって。俺もその言葉恵口さんに言いたかった」

「一々煩いな」

 うわ、さっきの塩見君に聞こえてたんだ。

 サラッと言われたものの、恥ずかしい言葉だったようで、私の顔も熱くなる。

 どうやら次の試合までは暫く時間が空くようで一旦休憩に入る。

 私は気にかけてくれる石黒さんと一緒に、暫くギャラリーから館内の様子を眺めていたのだが、やがて水筒に入れていたお茶を全て飲み干してしまったことに気が付いた。

 蒸し暑い館内、すぐにカラカラ喉が渇いてしまう。

「石黒さん、ちょっと飲み物買ってくるね」

 伝えると、私はお財布を取りに教室へと足を進めた。

 勢いのあるチーム、このまま優勝もあり得るかもしれない。その間に、コート内に一人取り残されなければいいが……。