二面コートで試合は行われ、一試合10分。コートの中に残る人数を競う。
運動神経は悪いくせ、ボールに当たるのは怖くて、逃げるのはすばしっこい。
自らボールに触れることはなくても、私は投げられるボールをちょこまか逃げ惑っているうちに笛の音がなり、三人差で二組の勝利。
卓球もバスケも苦手だからドッヂボールにしたものの、コートに残ったら残ったで注目されるから嫌なんだよな……。
その後、二回戦、三回戦……と、男子生徒や石黒さんがボールを投げているうちに勝ち進み、私はドキドキしながら次の試合を待っていた。
ギャラリーに上がると、私は椅子に腰かけ、前に立つ石黒さんと塩見君の後ろ姿を、ぼんやり眺める。
何だか、今を楽しんでいる姿はキラキラしていて、何の曇りもなく、私には手の届かない存在のよう。
そんな人達が、孤立しないようにと気にかけてくれ、私はぼっちを回避させてもらっている。