校舎に入ると、ズラリと並んだ下駄箱から自分のボックスを見つけ、教室に向かう。

 すると、ポンッと肩を叩かれ振り返ると、石黒さんが今日も朝からニッコリ。

「おはよう、今日は頑張ろうね」

 ──そう、今日は一年に一度行われる、球技大会の日。

 通常授業とは違い、全校生徒参加のイベントに、私は内心乗り気ではなかった。

「恵口さん、またボールにぶつかって鼻血出さないようにね」

「そうならないよう、頑張る」

 教室に入ると、既にクラスメイト達は沢山来ており、私と石黒さんも更衣室へと向かい、体操服に着替える。

 この学校では、雨で使えないため運動場はなく、その代わりに大きな体育館が五つある。

 球技大会はドッヂボール、卓球、バスケと三種目に別れており、私は石黒さんと一緒にドッヂボールをすることになっていた。