「通り……過ぎた」
「さっきの場所だったんだね。気分大丈夫?」
「うん、大丈夫。一緒に来てくれて、ありがとう」
山の頂上にある展望台は、父と母が初めてデートをした所、一年に一度必ず訪れた所、父が母にプロポーズをした所。
この展望台には思い出が多く、何かの節目に訪れており、ここを訪れようとしたのはあの事故以来。
そして暫くすると、バスは頂上に着き、パラパラ人も一緒に降車した。
この展望台はちょっとした観光地でもあったのだが、私が知っている過去よりも、沢山のひまわりの花が咲き、遊具も充実しており、人で賑わっている。
私と空也君は、以前家族で座っていたベンチに腰を掛けると、眼下に広がる風景を見つめる。