先に塩見君と石黒さんがゴンドラに乗り、すぐ次に私と嶋原君も乗り込む。

 いざ向かい合うと恥ずかしく、辺りはゴンドラの軋む音と、微かな微風の音しかしない。

「一日楽しかったな」

 嶋原君は徐々に高くなっていく景色を眺めながら、やっぱり笑っている。

 一日ずっと笑っている嶋原君を見るのは初めてで、何度もドキッとさせられてしまっていた。

「私も、楽しかった」

 ね、と目を合わせ、穏やかに笑い合う。

 夕日が私達を照らし、嶋原君の髪の毛と頬が淡く色づく。

 ドキドキ、と心臓の音が聞こえてしまいそうで、必死に平常心を保とうとしていた所、嶋原君が何やら携帯の画面を見せてきた。