石黒さんがジェットコースターが大好きらしく、私はフラフラになりながら、一休憩に椅子に座った。

「恵口さん、大丈夫?」

「あ……うん、大丈夫」

「おい石黒、もう俺もジェットコースターは嫌だ」

「はいはい、連れまわして悪かったね」

 石黒さんと塩見君がいると、会話が途切れることがない。

 最初は心から笑えなかったのに、私は今、二人の前で本来の自分のように笑うことができるようになった。

「じゃあ、そろそろラストで観覧車乗ろうか」

 立ち上がった塩見君に続いて歩いていると、観覧車の前で、塩見君は石黒さんの腕を握った。

「石黒、一緒に乗ろうぜ」

「別にいいけど。じゃ、嶋原は恵口さんとね」