~嶋原空也《しまはら くうや》~

 雨がないと、俺は生きていけない。

 皆が嫌いだ、鬱陶しい、と言う雨がないと、俺はこの世に存在していられない。

「せーのっ」

 相手チームがサーブをしてくると、俺はネット際でボールを待ち、クラスメイトがレシーブ。

 今日の体育は男女混合のバレーであり、レシーブから繋げて俺がトスを上げると、石黒春菜が勢いよくアタックをやってのけた。

 ボールはスピードに乗ったまま、床に落下。

「よっしゃ」

 ガッツポーズで喜ぶ石黒からハイタッチを求められ、俺も軽く手を合わせる。

 一方で、相手チーム側にいた恵口希花はスポーツが苦手なのか、あたふたしてばかりで、ちっともボールを追えていない。

 そんな恵口を、塩見健人が肩を叩いて慰めている。

 塩見はモテるが、女好き。転校してきた恵口とも、噂になったりするのだろうか。

「せーのっ」

 周りの掛け声に合わせて、今度は自分がジャンプサーブをして相手コートを狙うと、なんと恵口の顔面にぶち当たってしまい、そのまま後ろに尻餅をついてしまったではないか。