知識の幅は増え、将来は何になりたいか、ぼんやりとだか考えるようにもなった。
四月、五月、桜が散り、緑が生き生きする季節を過ぎると、やがて梅雨に入る。
そして、一ヶ月の梅雨を終える頃、再び太陽の輝く夏が到来。
「希花、ジュース一口ちょうだい」
「全部飲んじゃっていいよ」
私が言うと、塩見君は紙コップに入ったオレンジジュースをガーッと飲み干す。
五限目からの授業を前に、私は塩見君や友達と、食堂でダラダラ過ごしていた。
──しかしそれは、本当に突然だった。
何気なく見ていたワイドショーに、パッと映ったのは……博士。
紛れもなく、嶋原研究所の、あの博士。
そして、下に映し出されたテロップを見て、私は思わず立ち上がってしまった。
“雨人消失を防ぐ、研究に成功!”