~嶋原空也~

 消失して、丸一年、十月。

 俺達雨人は、変わらずこの小さな鳥籠の中で生活をしていた。

 最初は帰りたいと強く望んでいたのだが、こちらにいるのが当たり前になってしまい、もう、正直半分諦めていた。

 俺達は一生、ここで生活をするのかもしれない。

「嶋原君、私と付き合わない?」

 そんな中、ちょうど消失して一年経ったこの日、俺の部屋を訪ねてきた毛利が、突拍子のないことを言い出した。

「嶋原君、彼女はいないって言ってたじゃん。だからいいでしょ」

「突然どうしたんだよ」

「もう、私は帰れる気がしなくなった。だから、嶋原君と付き合って、慰め合いたい」