「ずっと、待ってるから」

 たったの一瞬でも、私は嶋原君のことを、ずっと待っている。

 忘れることなんてできない。

「だから、また……帰って来てねっ」

 ──そして、まもなく嶋原君が消えた瞬間、涙が私の頬を伝った。

 もう、嶋原君の存在はこの世界にはなく、遠い所に戻っている。

 一年ぶりに会って、会えたのは五分だけ。

 大した会話もせず、ただ目を合わせただけで、嶋原君は消失した。

 彼の残骸の虹色の欠片が、キラキラ私の手の中に振って、やがては消える。

「……待ってるから」

 ポツリ呟いた言葉は、すぐに闇夜に吸い込まれ、私は一人残されてしまった。