徐々に荒くなる呼吸に驚いて、様子を伺うと、嶋原君は苦しそうな表情をしている。 「嶋原君っ」 「大丈夫。……雨が止みそうになると、いつもこうだから」 「嶋原君……行かないで」 「恵口」 ポタリ、ポタリ雨が止み始めると、街灯に照らされた嶋原君の体が、徐々に透明になっていく。 「嶋原君のこと、待ってるよっ……」 いよいよ私の言葉に反応を見せなくなった嶋原君は、ただ苦しそうに私と目を合わせる。