屋根下にある休憩場の椅子に座った嶋原君は、走って来る私を見つけると、その場に立ち上がった。

 黄色の電灯に照らされた、嶋原君の顔が露わになる。

「恵口?」

「うんっ、嶋原君っ」

 間近まで走って来ると、肩で息をしながら、彼の腕に触れる。

 嶋原君が、いる。今、ここに、いるんだ。

「会いたかった」

 開口一番伝えると、嶋原君は心配そうにこちらを見つめている。

「濡れてるよ」

「いきなり雨降ってきたから。でも、大丈夫」