廊下に出ると、すぐに嶋原君に電話をかけてみる。

 プルルル……プルルル……。

 中々繋がらず、次の授業までの時間もなくハラハラしていると、待った五度目コールの後、プツッとようやくあちらと繋がった。 

「もしもし、嶋原君っ」

「恵口って、出たんですけど……友達ですか?」

 一年ぶりに聞く、懐かしい嶋原君の声が、私の耳に届く。

「うん、嶋原君の友達だよ。恵口」

「さっき帰って来たばかりで。でも、連絡くれてありがとう」

 ずっと聞きたかった声に触れ、私はうるうると潤みだした瞳を必死に我慢する。

 しかし、そこでチャイムが鳴ってしまい、先生が教室に入って来たではないか。