「恵口さん、大丈夫?」
「大丈夫」
「良かった、今回は血は出てないね」
あぁ、そうか、以前もこんなことあったな。
嶋原君のジャンプサーブのボールが、私の顔に当たって、鼻血が出てしまったんだ。
「石黒さん、雨……雨が、降ってる」
「えっあっ! ホントだ、じゃあ、嶋原帰って来てるのかな」
逸る気持ちを抑えながら、五限目の体育の授業が終わって教室に帰ると、すぐに携帯で天気予報を確認する。
今日は曇りマークが出ていても、雨が降るとは思っていなかった。
だが、雨マークは今日の夜までしか出ていないではないか。