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──ニッコリ、指で口の端を上げ、笑ってみる。
笑顔の練習は、私が家族を失ってからの毎日の日課である。
笑っていても、心にはポッカリ穴が空いたまま。心から笑ったことなんて、一体いつぶりだろう。
大切な人を失うのが怖くて、考えるだけで恐ろしく、ブンブン首を横に振る。
もう、散々だ。もう、思い出したくない。
本来楽しかった、キラキラした家族の思い出に触れることさえできずに、私はとりあえずの笑顔で毎日を淡々と過ごしていた。
好きな人なんて、大事な人なんて、絶対に作りたくない。
傷付くのが、傷付けられるのが、もう嫌だった。