~嶋原空也~
季節は十月、三月末に消失して、七ヶ月が経っていた。
どんなに経っても帰れる気配はなく、周りの雨人達は鬱状態になる者も多く、どんよりした気持ちは晴れないまま。
だからと言って、病院も薬もないため、抗うつ剤などもない。
「はぁ……」
俺の部屋に来ていた慎吾が、今日は朝から何度も溜め息を吐いていた。
「今日、僕の誕生日なんだよね」
「え、マジ。おめでとう」
「まさかこんな状態で誕生日を迎えるとは、思ってなかったよ」
プレゼントもなければ、誕生日ケーキもない。
「家族、僕のこと待ってるだろうなぁ」
「もう七ヶ月だもんな」
「はぁ、帰りたいな……」
十七歳を迎えた慎吾は、もう一度溜め息を吐くと、のっそり立ち上がった。
「ちょっと飲み物取って来る」