ずっと目を背けて、人の温もりを自ら遠ざけようとしていた。
でも、違うんだ。私……本当は、恵口さんの家族になりたいんだ。
「私達は、ずっと希花ちゃんの傍にいるよ。だから泣かないで」
心配そうなおじさんの声に、私は泣きながら何度も頷く。
「そうよ、だから、泣かないで。希花ちゃん」
おばさんの指が、私の涙を拭う。
「……私、恵口さんの家族になりたいです。……遅くなってしまって、ごめんなさい」
ここへ来て、一年以上も心を閉ざしていたのに、二人は今日も優しく私を受け止めてくれる。
「もちろんだよ」
「心を開いてくれて、ありがとう」
私が泣いていると、二人もうるうると瞳を潤ませて、三人で泣き笑った。