「また……大事な人が死んでしまうかと思った」
「……希花ちゃん、私達は大丈夫よ」
「そうだよ、ちゃんと生きてるよ」
ずっと目を伏せていた記憶がガッと目の前に広がり、見る見るうちに鮮明の蘇る。
下半身が血だらけだった父に、頭から血を流していた母。
二人は何も言わずに、突然私の前から消えてしまった。
──私は、いつも一人ぼっちだった。
施設の先生も、友達も、どこかで赤の他人だと思っていた。
そんな私を、新しい家族として迎え入れてくれた恵口さん夫妻。
しかし、本当の子供のように可愛がってくれるおじさんとおばさんに対して、私は過去を思い出したくないからと、どこかで他人だと線引きしていた。
「私……恵口さんの家族になってもいいんですか」
「希花ちゃん、何言ってるの」
「そうだよ、希花ちゃんはもう僕達の家族じゃないか」
涙を流す私を見て、二人の温かい手が伸びてくる。