「ビ、ビックリした」

「一体何なんだ、あの車は」

 ──二人は、ちゃんと生きていた。

 あの日の、両親が亡くなった事故の時とは違って、二人はちゃんと生きていた。

「大丈夫ですか!」

 白バイに乗った警察官が窓をノックしてきて、私達の無事を確認する。

 窓を開けると、信号無視で突っ走って来たあの車にぶつかった、という状況の説明をされた。

 一応、相手も軽い怪我もなく無事だ、と。

 また、事故で大事な人を失ったらどうしよう、と思ってしまった。

 もう、これ以上大事な人を失いたくなかった。

 雨の中、あの日の記憶がフラッシュバックして、私の頬を、涙が伝う。

「良かった……生きてた」

 嗚咽を殺そうとしたが無理で、私の様子に気が付いた二人が、心配そうな表情で私を見ている。