「えっ」

 でも、俺の一言を聞いた途端、恵口は目を見開いて固まってしまった。

「……だって、一昨日帰ってきたばかりなのに」

「ホントだね」

「そんな……」

「何も出来ないまま、戻らなくちゃいけなさそう」

 残念だなー、と言って俺が無理に笑うと、恵口の瞳が見る見るうちに揺らいだ。

 涙を溜めた瞳が、じっとこちらを見ている。

「……やだ」

「恵口」

「また行ってしまうなんて、嫌だ……」

 しかし、そうは言われても、どうにもできない現実に、俺は諦めることしかできなかった。