少しずつ、血が抜かれていく。

「ん……」

 痛みが強くて、声が出てしまう。

 それでもレオは、私の血を飲み続ける。


 やめないということは、お気に召した?

 でもこれ以上は、怖い。


「今日はここまでにしよう」

 私の感情が伝わったようで、レオは私の首筋から離れた。

 あまり吸われていないのに、貧血になったような気がして、身体をレオに預ける。

 ぐったりとしているところに、レオは私の首筋を舐めた。

「ひゃっ……」

 その行為から逃げようとするも、私は椅子から落ちただけだった。

「悪い、悪い」

 そう言うレオはきっと、悪いなんて思ってなくて、憎しみを込めて睨んでも、レオは愛しいものを見るような目を私に向けた。

 そして私を抱き上げる。

 今日は、お姫様抱っこ。

 これはよくない。

 レオの顔が近すぎる。

「照れてんのか? 可愛いなあ、姫は」

 呼び方が戻った。

 寂しい気もするけれど、嬉しい気もする。

 姫と呼んでくれるってことは、レオにとって特別な存在になれたってことだろうから。


 そう思うとますます照れくさくなって、私は顔を隠そうと、レオにしがみつく。

 レオが小さく笑う声がしたけれど、聞かなかったことにしよう。


「そうだ、千紗。夜はなるべく外歩くなよ」

 寝室に連れていかれ、ベッドに寝かされると、ベッドに腰掛けるレオは言った。

「言われなくても、あの日以来、出歩いてないけど……どうして?」