すると、レオは吹き出すように笑った。

「よくわかんねえって顔」
「だって、わかんないから」

 レオが本当におかしそうに笑うから、なんだかつられてしまった。

 緊張感と寂しさは、簡単にその笑顔に打ち消された。


 ひとしきり笑ったレオは、私の腰に手を回し、抱き寄せる。

 レオの紅い瞳から、目が離せない。

「血を飲んだら一生離さねえけど、いいのか?」

 まるでプロポーズのような言葉に、顔が熱くなる。

「血を飲む前から、私の味が好みって確定しているの?」
「匂いで惹かれた時点でわかるさ」

 だったら、こんな選択しなくてもよかったのかもしれない。

 ただ、レオは怖くないって言えばよかっただけなのかも。


 しかしながら、レオが離れていかないとわかったからか、私は一気に安心した。

 そして服を着ようとしたけれど、あっさりとレオに止められてしまった。

「この期に及んでお預けはなしだろ」

 ですよね。


 レオは私の身体の向きを変え、座らせる。


 さっきと似たような状況。

 今度は逃げられない。


 レオの銀髪がくすぐったいと思った直後、レオの歯が肌に触れ、全身に痛みが走る。