「え?」
「血は吸うけど、血の種類なんて選べるわけないでしょ」
「えええぇぇぇ!?
じゃぁ今までの耳はなんだったの!?」
「そんなの、俺がキスしたいからに決まってるじゃん」
きょとんとする夏菜子。
ニヤニヤ笑う彩。
「そんなことだろうと思ってたわよ」
夏菜子を見つめる藍。
「愛してるよ、夏菜子」
『―――――……!?』
不意打ちの言葉に声が出なくなる夏菜子。
「人前でいちゃつくのは止めてもらえませんかねぇ」
テキストをペラペラとめくりながら彩がぶつくさと言う。
「無理。
俺は夏菜子が大好きだから。
夏菜子を愛してるから。
この気持ちはだれにも邪魔させない」
そう言って夏菜子の耳にキスをした。
「はいはい、わかりましたよ。
ほら、受験に向けて頑張るんでしょ? 楽しいお勉強をしましょうね」
藍の言動に見向きもせずに、自分も勉強しようとテキストの準備をする彩。
「でも、どうしても英語はよくわからなくて……」
そう言う夏菜子は単語帳を放り出して椅子の背もたれに体重をかける。