「あら、転校生が来てからまだ1か月くらいしかたってないじゃない。いい人見つけたのね?」
「違うよっ。 向こうからぐいぐいと……」
そこまで言って恥ずかしくなった。
顔が赤くなるのが分かる。
…………………―――。
その後の言葉が続かなくて沈黙が続く。
その沈黙を遮ったのは母親だった。
「大丈夫よ、お母さんは文句なんて言わないし、怒ったりもしない。この際全部話してしまいなさいよ。
気持ちが辛いのは、悲しい事よ」
「……あのね」
次の言葉がなかなか出てこない。
「大丈夫よ。大丈夫」
意を決して言葉にしてみる。
「その人……ヴァンパイアなんだ……。って言ったら、信じないよね」
下を向きながら『ハハハ…』と軽く笑ってみた。
「あらぁ、おじいちゃんと同じじゃない」
――――――え?
「あなたのおじいちゃんもヴァンパイアなのよ。
こんなに近い所にヴァンパイアが居るなんて思ってもみなかったわ~。
ヴァンパイアってことで何か理由があって転校してきたのかしら?
今度連れてきなさいよ、なんならおじいちゃん今部屋にいるから今から呼び出しなさい?
彼のことで悩んでるんでしょう?」