「ほらほら、藍くんも」
そう言われて、意外にも藍は簡単に友達登録を承諾した。
「登録したとしても、俺は返信しないし、夏菜子と一緒にじゃないと勉強はしないよ?
夏菜子が居ない勉強なんて意味が無いしつまらない」
「よっぽどこの子のことが好きなのね。解ったわよ。
ねぇそれよりあたしにも頭がよくなる秘訣を教えてよ。
藍くんの教え方が上手なの?
それとも、毎日血を吸ってるから?
私の耳もチュっと吸っちゃってよ~」
ぐいぐいと質問攻めにしてくる彩に夏菜子は若干の拒絶反応を示している。
自分の物と言うわけではないが、図書室での一件の後、正式にお付き合いを始めることになったのだ。
あまりいい気分ではない。
というより、凄く気分が悪い。
自分が思っているよりも藍のことが好きになってしまっているようだ。
「ねぇねぇほら、あたしの血も吸ってよっ。あたしも藍くんと仲良くなりたいし、頭もよくなりた~い!」
そう言って彩は藍の横に移動し、藍の顔、その口元近くに自分の耳を寄せる。
「やめてくれないかな」
低い声が教室に響いた。
「俺は夏菜子以外の血を吸う気はない。
好きでもない人の血を吸うなんて考えられない。
二度としないでくれないかな」
静かな沈黙が教室内を通り過ぎて行った。