「羽衣は花火楽しんでくれてていいよ」
「っ、そんなの……」
できるわけないじゃん。
……なんだか涼。
「……羽衣、かーわい」
甘くないですか?
「っ、」
そして今度はぎゅーっと抱き締めてくるから、涼にすっぽり包まれて鼓動は速くなりっぱなし。
だけど私もぎゅってしたいから、腕に力を込めてぐっと引き寄せた。
「……わ。羽衣も甘えたくなった?」
「……そんなんじゃない、し」
そうなのかな。甘えたくなったのかな。今はとりあえず、この落ち着く香りに包まれていたかったの。
そんな私は、ずるいかな。
「……やっぱり、前言撤回」
「え?」
「俺が花火に妬くから、俺のこと見てて」
「あははっ、なにそれ」
でも嬉しいと思ってしまうのは、ちゃんと涼から「好き」いう気持ちが伝わってくるから。
……やっぱり、涼の隣は安心する。