その日から、なんだか羽衣がよそよそしくなって。
今までも幼なじみだったけど、もっと“幼なじみ”らしくなったというか。
それはつい最近までずっと変わらなくて。
俺もその距離を保っていた。もし、一歩踏み出したとして拒絶されたらと思うと怖いから。
だけど、それを崩したのも君だったよね。
『“幼なじみ”の私と離れた方がいいんじゃない……?』
最初は幻聴かと疑った。だけど時間がすぎると、じわじわと染み込んできて。
だんだん、視界が暗くなっていく。
羽衣は冗談と言ったけど、あの時の声は少し震えていて、とても冗談には聞こえなかった。
……“幼なじみ”のままだったら、ずっと隣にいることができる。
そんな考えが、甘いと思い知らされたんだ。