「……っ、」
目が合わなかったふりをして、すっと横を通り過ぎた。……けど、
「……まって、羽衣」
後ろからぐっと引き寄せようとしてくる腕が、私を進ませてくれない。
「…………して」
「え?」
「……はなして」
「なんで」
なんで、って……そんなの言う必要あるの?
「あの文、どういうこと」
「…涼は、高橋さんと夏祭り行けばいいじゃん」
「は?なんで高橋とーー」
「っじゃあ私行くから……っ!」
涙がぶり返してきそうだったから、無理矢理涼の腕をほどいて逃げ出した。
「……一緒に行こうって、言ったじゃん」
私が走り出してからしばらくして後ろから呟かれた言葉は、私には届かずに青空に溶け込んでいった。