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教室へ戻るために階段を降りるときに、私は口を開いた。



「……あのね、日葵。私……涼とのこと、まだ諦めたくないの」



私たち以外誰もいないそこは、私の声をよく響かせて。


小さい声でも、よく届く。



「……だけど、今は自分の気持ちが整理できるまで、ちょっと距離置こうかなって……思ってる」



「……うん。羽衣が決めたことなら、それでいいと思うよ」





自分の中で、恋心が抑えられなくなってきているのなんて、そんなの分かってる。


だから、はっきりしなきゃだめだ。


自分がどうしたいのか。




ーーー……涼。




日葵はそんな私をもう一度ぎゅっと抱き締めて「がんばれ」と笑顔をくれた。