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「……す、ず」
……今、なんて……?
『ーー俺、羽衣と幼なじみやめる』
聞き間違え?……でも、
まっすぐに私を見つめてくる、少し冷えたような瞳は“これは現実だ”って語っている気がした。
いつも涼が私と話しているときと、全然違う瞳。
……うそ、でしょ。
「………なんで…」
「なんでって……疲れたから。羽衣と幼なじみやってるの」
ーー胸が、抉られそう。
目の前が急に真っ暗になって、自分がどんな顔をしているのか分からない。
“疲れた”なんて、なんで今なの。もう幼なじみ、小さい頃からずっと続けてきたじゃん。
ーー本当に、なんで。
「……私、ずっと涼と幼なじみでいたいと思ってたよ…?」
ずっと、ずっと。それだけを願ってた。
“幼なじみ”という特権は、ずっと持っていていたかった。
涼も、幼なじみという切っても切れない関係を、そう思っていてくれているって。
……なのに、
その特権にこだわり続けていたのは私だけだったの……?
戸惑いで揺れていた瞳からじわりと涙がこぼれ落ちそうになるのを、唇を噛んで必死にこらえる。
涼の姿がぼやけていても、今の涼は私を冷たい視線で見ているってことが分かる……くらい。
……もう、涼にとって私は幼なじみじゃないってこと……だよね。