「向井さん…?」


由里が考えを巡らせていると、結衣が「知り合い?」と尋ねてきた。


「うーん…心当たりないけどなぁ。」


由里が考え込んでいると、真由美が「とりあえず打合せ、打合せ!ほら、さっさと準備してイケメンのいる打合せに早く行くわよ!向井さん以外の冨永建設の方も皆さんイケメンだったのよねー!打合せ楽しみ!」と言って先陣を切ってオフィスの方へ歩いていった。


慌てて結衣に「またね!」と言うと、由里は真由美の後についてオフィスへ行き、打合せの準備をして会議に臨んだ。


「失礼いたします。」


ドアをノックし、真由美と由里が部屋に入ると、座っていた数名の男性陣がスーツのボタンを留めながら立ち上がった。
真由美の言うとおり、確かに全員イケメンだった。
特に、1番風上の席で立ち上がった男性は、短髪で爽やかで、纏っているオーラが違った。


その男性は柔らかく微笑むと、一礼をし「お世話になります。冨永建設の向井です。本日はよろしくお願い致します。」と言った。続いて他の男性陣もペコリと頭を下げる。