「───填本」




うずくまって自己嫌悪に陥ってる時、突然、雪のようなふわりと優しい音色が上から落ちてきた。


その声の主なんて、顔を見なくてもわかる。

情けない自分の今の顔を見られたくなくて、更に顔を伏せて両手で強く膝を抱く。



「填本、どうした」



上から降ってきた声が、今度は目の前で近くに聞こえる。

私の目線と合わせるためにしゃがんでくれたのだと、見なくてもわかった。

その優しさが、余計に苦しくなった。



「俺との約束忘れた?今日は恋のお楽しみ会じゃん」

「……行かない」



顔を伏せたまま、左右に首を振る。

何も進展していないのにどんな顔で会えばいいのかわからないから。