そう意気込んだものの、私はすっかり忘れていたのだ。

紗良は、愛犬の散歩を毎日楽しみとしているため、掃除当番の時は早く終わらせようと全力で掃除をするということに。


紗良は手強い、手強すぎる。


私の今まで通用してきた全ての策が、ことごとく軽やかに交わされていく。

なぜこんなにも上手くいかないのだろう。



"もしかして、私が上手くいかないようにさせてる?"



ほうきを動かす手が止まってしまう。


無意識のうちに、私は2人が上手くいかないように先延ばしにしているのか?


いや、そんなはずはない。
私だってちゃんと色々考えてるし、本当に2人がうまくいったらいいのに、と思っている。

だけど、心のどこかで、うまくいかなければいいのに、と思う自分が多少なりともいたんじゃないだろうか。


そう自分の心に聞いてみる。

「そんなはずない!」とは胸張って否定できなかった。