「あっ、私の部屋でやろう。ずっと部屋にいたからクーラー効いてて涼しいよ」

「オッケー」

「先に行ってて、飲み物野菜ジュースならあるけど」

「紫?」



野菜ジュースの色を聞いてきたので、もう一度冷蔵庫の中を確認する。



「あっ、オレンジ」

「オレンジかぁ、まぁオレンジも美味しいし、良しとしよう」

「水にするぞ」

「ごめんなさーい、野菜ジュースでお願いしまーす」



バタバタと階段を駆け上がり逃げる紗良にクスクスと笑いながら、グラスに野菜ジュースを注ぐ。

お母さんが買い置きしているお菓子を適当に持って、私も自分の部屋に向かい扉を開けた。

紗良は私のクローゼットから折りたたみ式のテーブルを取り出し、開いてその上に宿題を置いている最中だった。

物心ついた頃から一緒にいるから、紗良に部屋の中を物色されて勝手に使われても、もう何も思わない領域にはいる。