15時くらいになったところで、手を止めて背もたれに身体を預ける。

ふと、教科書に紛れ込むように収納されているノートを指先で掴んで机の上に置いた。


【恋のキューピット専用ノート】


適当なページで開いたつもりが、開きすぎて癖になってしまったのか、千崎くんと紗良の細かな記録を書き起こしたページが開いてしまった。

千崎くんの好きなものとか、アピールできる部分とか、紗良とここが合うだろうな、っていう細かなことも忘れないように書き起こしていた。

もちろん紗良のいいところも、好きなところも全部。

私が実行した作戦も、失敗した記録も、2人の距離感が徐々に変わっていったことも、全てここには書いている。

気づけば、10ページも使っていた。



「相変わらず、見返すと気持ち悪いなぁ……」



1人だから、結構大きめな独り言を呟いて自嘲した。

友達の恋路に対して一生懸命すぎて、私がしたことなのに私自身が1番引いてしまう。