願い事か。もっとスタイルがよくなりたいとか、長期休暇を取って旅行に行きたいとかいろいろあるけれど、星に願うのは自分の力だけではどうにもできなそうなことにしたいから……。

「私は……〝幸せな結婚がしたい〟かな」

 ずっと前から抱いている願望をなんとなく口にすると、一瞬真顔になったゴンさんがぷっと噴き出す。

「願うほどでもないだろ。タイミングさえあればできるって。降旗はべっぴんさんだし、クールに見えて中身は可愛いし」
「どこがですか」

 そっけなく返したものの、社交辞令だとしてもそんなに褒められたら照れてしまう。

 ローレイヤーを入れたミディアムヘアを意味なく触っていると、にやにやするゴンさんに「そうやって、すぐどぎまぎするところとか」と言われて余計恥ずかしくなった。

 身長は百五十八センチと小柄だが、やや上がり気味の猫目のせいで、見た目はややきつそうな印象を与えるのだろうと自覚している。

 感情はすぐ表面に出てしまうのでわかりやすいかもしれないけれど、それが可愛いかどうかは微妙だし、モテた覚えもない。

 だから今も彼氏はいないのだが、結婚したいと願う理由はそれだけじゃない。