そばにあるお土産屋には、この時間はほとんど人がいない。が、今日はこちらに背を向けて品物を眺めている男性がいる。

「よぉ、お待たせ」

 その男性に突然声をかけるゴンさんにギョッとした私は、こちらを振り返った彼を見てさらに驚愕した。さらっとした黒髪の、美しく凛々しい顔立ちのこの人は……!

「あれっ、イケメンコーパイ……じゃなくて、キャプテン」
「相良さん!?」

 私と同様に驚く遠野くんと、ほぼ同時に声をあげた。今日はフライトではない麗しのパイロット様が、なぜここに!?

 呆気に取られていると、彼は穏やかな笑みを湛えて「どうも。皆さんお疲れ様です」と会釈した。ブルゾンにハイネックニット、ブーツを合わせたカジュアルな私服姿もカッコよすぎる。

 固まる私たちに、ゴンさんが意外そうな顔をして言う。

「お前ら相良のこと知ってたのか」
「ゴンさんこそ! どうして?」
「俺が静岡でやってた頃、でっかい親睦会みたいなのがあって。そこで知り合ってから時々連絡取ってたんだよ」

 そうだったんだ……まさか繋がりがあったとは。気を遣わない間柄らしいことが、ふたりが話す様子から伝わってくる。