ヒノモトエアーは大手にもかかわらず、便数の少ない地方空港にも就航してくれているので、個人的にとても好感度の高い会社だ。その感謝も込めて差し上げたい。

 しかし当然ながら、突然見知らぬ私にコーヒーを差し出されたコーパイさんはキョトンとしているので、簡単に説明しておく。

「すみません、さっき機長さんと話しているのが聞こえたので。それだけじゃなくて、こんな地方空港にも来てくださっているお礼に」

 私が感謝することじゃないんだけど、と心の中でツッコむと、彼がクスッとおかしそうに笑った。

「いいんですか? あなたの分なのに」
「ええ、私はいつでも買えるので」

 って、パイロットは忙しいというのに、こんなやり取りをしていたら時間の無駄じゃないか。そう反省したのもつかの間、大きな手がこちらに伸びてくる。

「じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます」

 綺麗な笑みにドキリとすると同時に、快く受け取ってもらえてほっとした。

 改めて間近で見ると、本当に文句のつけどころがない人だ。百八十センチくらいの高身長で、細目ではない切れ長の瞳にはそこはかとない色気を感じるし、声も無線で聞くより甘くて素敵。