目鼻立ちがはっきりしている顔が美しく、かつきりりとした男性らしさを感じる。脚もすらりと長くて、制帽から覗く襟足までもが完璧。

 おそらく事務室でブリーフィングをしていたのだろう。今の時間から察するに、先ほど到着したヒノモト航空のチャーター便のパイロットである可能性が高い。つまり、私が声を交わし合っていた彼だ。

 あんなドラマに出てきそうな人がいたんだ……と注目していると、同じほうを見ていた遠野くんがこそっと耳打ちしてくる。

「ヒノモト航空のあのコーパイさん、まだ三十三歳なのに機長目前らしいっすよ。次、試験に受かったら昇格だって」
「そうなの? すごすぎ……!」

 驚きであんぐりと口を開けたまま、若きエリートコーパイを眺める。

 機長になれるのはだいたい四十歳前後だと言われているのに、三十代前半でその域に達しているとは。

「ていうか、なんで遠野くんそんなに詳しいの?」
「カウンター業務のお姉様方が騒いでたんで」
「あー、なるほど」

 納得して頷いた。あの容姿でパイロットだもの、そりゃあ女性陣は放っておかないよね。二次元のイケメンが大好きな茜でさえも目の保養にしているだろう。