こうして挨拶をするだけでほっこりする。パイロットと顔を合わせる機会は滅多にないから余計に。

 この管制を終えたところで、私もようやく休憩に入る。時刻は午後一時過ぎだ。

 お昼休憩は、職員が働く事務所か、空港内にある一般の定食屋でするのがお決まり。羽田や成田のように広い空港ではないので社員食堂はなく、お客様に交ざってランチをすることが多い。

 しかし、今日のような忙しい日はのんびりと休んでいる時間はない。売店で軽食を買って済ませよう。

 つい最近、長野限定のご当地缶コーヒーが発売され、ターミナルビルの売店でもそれが並んでいる。ゴンさんも気になっているらしいから買っていってあげようかな。

 パンと一緒に珍しいデザインの缶コーヒーをふたつ購入して売店を出たところで、ちょうど遠野くんと鉢合わせした。「お疲れ」と挨拶していると、チェックインカウンターの奥にある航空会社の事務室からパイロットがふたり出てくる。

 なにげなくそちらを見やった私は、イケオジの機長ではなく、三本ラインの肩章がついた制服に身を包む副操縦士の男性に目を奪われた。その若さと外見のよさに、無意識に見入ってしまう。