一方ゴンさんは、自分の発言のなにがいけなかったのかわからない様子で首をかしげている。それもそうだ、過去の詳しい恋バナは彼にしていないから。
「なんで禁句なんだ……はっ、まさか今のもセクハラ?」
「そういうことにしておきましょう」
茜の適当な返しを真に受けたゴンさんは、「もうなんも話せなくねぇか……?」と深刻そうな顔をした。全然セクハラだとは受け取っていないのだけど。
申し訳ないのでフォローしようとした時、今度は外で作業していた土木技術者の遠野くんがやってきた。私のふたつ下の二十二歳で、この春松本空港管理事務所に仲間入りしたばかりの新人さん。彼も技術職で採用された公務員だ。
しっかりした体つきにふわっとした髪、そして人懐っこい性格の彼は、私を見つけてぱっと笑顔になる。まるで大型犬みたいな子で、近づいてくるその身体にしっぽが見えそう。
「あ、莉真さん! 誕生日おめでとーっす!」
「遠野くん、ありがとう。よく覚えてたね」
すごく軽い調子でお祝いの言葉を口にするので、嬉しくなりつつも笑ってしまった。
実は七夕が私の誕生日なのだ。茜もくいっと口角を上げて、ゴンさんに向かって得意げに言う。
「なんで禁句なんだ……はっ、まさか今のもセクハラ?」
「そういうことにしておきましょう」
茜の適当な返しを真に受けたゴンさんは、「もうなんも話せなくねぇか……?」と深刻そうな顔をした。全然セクハラだとは受け取っていないのだけど。
申し訳ないのでフォローしようとした時、今度は外で作業していた土木技術者の遠野くんがやってきた。私のふたつ下の二十二歳で、この春松本空港管理事務所に仲間入りしたばかりの新人さん。彼も技術職で採用された公務員だ。
しっかりした体つきにふわっとした髪、そして人懐っこい性格の彼は、私を見つけてぱっと笑顔になる。まるで大型犬みたいな子で、近づいてくるその身体にしっぽが見えそう。
「あ、莉真さん! 誕生日おめでとーっす!」
「遠野くん、ありがとう。よく覚えてたね」
すごく軽い調子でお祝いの言葉を口にするので、嬉しくなりつつも笑ってしまった。
実は七夕が私の誕生日なのだ。茜もくいっと口角を上げて、ゴンさんに向かって得意げに言う。